適応障害から5年——退職を決断した理由と「認知の歪み」の考察

新型コロナウイルスの影響が始まってから約5年——私はこのたび、退職を決断しました。今回の記事では、その経緯と、適応障害において「ストレスの要因から離れること」が推奨される理由について、私なりの考えをまとめます。

退職に至った経緯

体調の回復と仕事への影響

私の適応障害の症状は、主に身体的なものと脳機能の異常に分かれます。症状については過去の記事で詳しく書きましたが、6か月の休職や仕事量の調整、生活リズムの改善により、昨年は暖かい季節の間、休日に外出できるまで回復しました。

しかし、仕事を続ける上で問題になったのは脳の機能低下です。
記憶力や集中力の低下により、業務でのミスの増加、その結果、自信を喪失し、自己不信が強まりました。

こうした状況が続くうちに、認知の働きにも異常が生じ、人間関係や日常生活にも支障をきたすようになりました。

自信の喪失と脳機能の悪化

自信の喪失と不信感の積み重なりにより、私は人の言動に過敏になり、些細な言葉に傷つくようになっていきます。
• 「こんなにできない自分に、こんなことを言うなんて何か裏があるのでは?」と常に疑心暗鬼になる
• 些細な出来事にも深く傷つき、イライラや悲しみに振り回される

このように、脳の情報処理が正常に働かず、感情のコントロールが難しくなっていったのです。その結果、次第に孤立感が強まり、ストレスの蓄積が加速しました。

適応障害における「認知の歪み」とは?

人間関係の変化と孤立感

身体的な症状は徐々に改善していったものの、脳の機能低下によるストレスはむしろ悪化していきました。
• 「私には居場所がない」という強い孤独感
• 相談なしに決められることに対して、不信感が募る
• 些細な噂話にも、暴力的な痛みを感じるようになる

これらは、脳の異常による認知の歪みだと考えています。

通常であれば「気にしない」ことができる些細な出来事も、自己不信が強まることで過剰に反応してしまう。その結果、どんどんストレスが蓄積し、状況が悪化してしまうのです。

認知の歪みが悪循環を生む理由

適応障害では「ストレスの要因から離れること」が推奨されます。その背景には、認知の歪みが悪循環を引き起こすという点があるのではないかと考えました。

私はこの5年間で、体調は大きく回復しました。しかし、自己不信による認知の歪みが改善されない限り、完全な回復には至らなかったのです。

身体的症状の影響による脳機能低下 → 業務ミス増加 → 自信喪失 → 認知の歪み悪化 → ストレスの蓄積 → 身体的症状の悪化→ さらに脳機能が低下 → 自信喪失

この悪循環が続いた結果、最終的に退職を決断するに至りました。

退職を決断するまでの道のり

医師の意見と回復の兆し

発症当初、主治医は退職には反対でした。
• まずは休職して様子を見るようにと言われる
• 最悪の状態を抜けるまでは退職を勧められなかった

しかし今回は、私が退職を考えていることを伝えたところ、初めて「OK」が出ました。これは、私自身が病識を持ち、他の選択肢に目を向けられるようになったためだと思います。

会社の環境と適応の難しさ

私の勤めていた会社は小規模であり、部署異動などの環境の変化を作ることが難しい職場でした。そのため、同じ環境で働き続けることが避けられず、発症前と状況を変えることができませんでした。

もし、新しい仕事や新しいメンバーと働く機会があれば、状況は変わっていたかもしれません。

認知療法を受けられなかった現実

私は認知療法を受けることができませんでした。その理由は、
• 通院できる範囲に対応する病院がなかった
• 精神科の通院・薬代だけで年間7万円以上かかり、認知療法の費用負担が厳しかった

もし早い段階で認知の歪みに対処できていれば、違う結果になっていたかもしれません。しかし、現実的な問題として、それを受けることは難しかったのです。

まとめ——適応障害の回復とこれから

適応障害において、最も大きな要因は「認知の歪み」ではないか——私はそう考えました。
• ストレスの要因から離れることは、確かに有効
• しかし、認知の歪みを抱えたまま新しい職場に行っても、すぐに改善するわけではない

大切なのは、自ら病識を深め、認知の歪みが発生していることを客観的に察知する力をつけることではないでしょうか。

これから私は、療養を最優先にしつつ、運動療法を取り入れ、生活リズムをコントロールしていこうと思います。

焦らず、一歩ずつ前へ。

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ナクジイ

猫4匹と同居。中学生から独学でWeb制作を始め仕事として10年ほど。Web制作依頼でお困りの方にも相談しやすく伴走したいと思い制作ノウハウだけでなく依頼者向けのコンテンツを提供。訳あって週4勤務中。おっとりしてそうに見えるらしいが、結構じっとしていられないタイプ。

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